最近の読書は小説で「プリテンドファーザー」を読んでいます。
シングルファーザー2組が同居している設定で、それぞれの父親の心境が中心に描かれるのですが、男性の育児への向き合い方がずっと中心にあるので私は面白く読めています。
先日読んで良かった部分を紹介します。
・「っていうか、たとえ育休が取れたとしても、それで終わるわけじゃないんですよね。うちの奥さん、出産したら半年で仕事復帰するつもりらしいんですけど、これからはあなたも積極的に時短して対等に育児をしてくれないと困るって言うんです。だからそれを考えると、もう今の部署にいるのは無理なのかなと思って……」
「ポストイクメンの男性育児」の本でも、
育休はあくまでもこの先長く続く育児のスタートに過ぎない。訓練機関であり、育休が終わったあとも育児と仕事の両立を考えていかなければいけない状況は続く。
とありました。改めて私も心に留めて働き方を選んでいきます。
・「抵抗があるのは、汐屋さんが自分みたいな男を世の中のスタンダードだと思ってるからですよ。その思い上がりをやめれば解決する話なんじゃないんですか?」
私も働き方について考え、自分自身も変えていく中で、今の学校の仕組みは「フルで働ける健康な男性が揃っていること」が前提で作られていると感じたことがあります。
だから私のように育児で一時期仕事を軽めにする必要があったり、
その他介護や病気など事情のある人、
事情がなくとも人らしい人権を守られた働き方がしたいと考えている人、
が増えてくると回らなくなってしまうんだと思います。
多様性が大事にされる時代です。
「これが世の中のスタンダード」なんてものにとらわれすぎないようにしたいです。
・「なんか、ホントに命かけて産んでくれるんだなって思ったら、部署に固執してる自分が馬鹿馬鹿しくなっちゃって」
育休を取るかどうかとか、期間を考えていたときにこういうことを私も考えました。
周りの目や自分のキャリアが気にならないわけではないですが、それとは比較にならないくらいの大変さで産み出してくれています。
人の価値観によりますが、私はそうやって生み出された我が子を精一杯育てたいという価値の重さに気づいてからはかなり人目を気にしない行動が取れるようになりました。
・「なんていうか、俺たちみたいな男が仕事にかまけてきた結果が、今の社会なんじゃないかって気がするんだよ。なんで女が結婚や出産で仕事を離れないといけないのか、どうしてうちの会社の管理職が男ばかりなのか、もっと言えば、男が仕事以外の生き方を見つけづらいのも、おおもとを辿れば、俺たちが子育ては女がやるものだって思ってるからだろ?」
たまに嫁様から他のご家庭の家事育児の分担事情を聞くと、そのご家庭の旦那さんは「子育ては女がやるものだって思ってる」んだろうなと思うことがあります。
私は我が子は誰かが育ててくれるものという感覚がありませんでした。
「子どもが欲しい!」という男性の言い方に触れた時なんかは
「モノじゃないんだから。ほしいのは良いけど、ともに育てる覚悟はあるのかな?」と冷ややかな目で見てしまうこともあります。
・周りから賞賛も感謝もされにくい、日々の生活の中に消えていってしまう家事や育児に従事した時間が、家庭というものを存続させてきたのだ。
これは他の本でも指摘されている家事育児の難しい点です。人からも自分でもその価値に気づきにくい。
気づく人が増えて、互いに賞賛し感謝し合えるともっと良い社会に変わっていけそうです。
・「会社って前例がすべてじゃないですか。誰かがやらないといつまでたっても仕組みが変わらない。うちの会社の慣例的に難しいのはわかってますけど、だからこそ、自分が男性社員で初めて半年の育休を取った人間になりたいんです」
「なんとか会社に認めさせたいんですよ。しかも、なるべく周りの協力を取り付けて、半年育休を取ったあとも、何のトラブルもなく元の部署に戻れるようにしたいんです。もちろん、認められない場合は、会社を訴えることもできるんですけど、それじゃあ誰もあとに続かないじゃないですか」
「会社の今後のためにも、人事部の人間として味方になってもらえませんか? 僕が育休を半年取って何事もなく戻ってくることで、あとに続く人が出てくるんです。この先、子どもを持つ、十人、二十人の子育てを楽にすると思って力を貸してください」
「……たしかに、そのときはそう思ってたんですけど、よく考えたらおかしいなと思ったんです。子育ては二人ですることなのに、母親だけが産休を含めて、最低でも数ヵ月は赤ん坊にかかりきりにならなきゃいけない。もちろん、そのぶん男が稼いでくるのも大事なのかもしれませんけど、本当はその期間は、これから二人で子どもを育てていくにあたって、自分たちの生活を再構築する期間じゃないですか」
育休を取ろうとする男性が熱弁するシーンです。
非常に共感します。
私も、部活動顧問にしても育休にしても、なるべくあとが続くような前例になりたいと思っています。