丹後先生の生き様公開と仲間づくりのためのブログ

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石川県の中学校の部活動コロナ対応。部活動の社会体育化は部活動を維持するのではない。「教師=スポーツの指導者」ではない

石川県の中学校の部活動コロナ対応

石川県の中学校でも7市町で部活動が禁止になるようです。

私の勤務するかほく市は禁止されていませんが、授業での実験観察などはできないステージⅢ相当の対応を求められているので、マスクがない状態で会話や声出しや接触のある部活動が制限されないことには違和感を感じます。これでは教師も生徒も本気で気をつけなければと思いづらくなってしまうと思います。こちらから気をつけるよう求めるときにも、よりリスクの高い活動をやっているという矛盾を孕んでいるため説明がしづらいです。

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部活動の社会体育化は部活動を維持するのではない

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このような記事が載っていました。学校で行われている部活動(勝利至上主義的な側面、活動日数、練習時間、指導料の無償など)をこのまま維持しようとしたり、地域で維持しようとしたら無理があると思います。少子化や教師の超過勤務の問題から学校では維持できませんし、部活動のスケールでやろうとしたら地域でも人材や資金不足で維持できないでしょう。

発想を変える必要があります。なにも現状の部活動をそのまま維持する必要はないのです。やりすぎているというデータがあるくらいなのですから、地域で担う多くのスポーツクラブでは規模を縮小すれば良いんです。目的がスポーツを楽しむ、スポーツを通して人間性を磨くなどが目的ならば、週5日も活動日がなくたって良いはずです。部活動が休みになると喜ぶ生徒が多いことからも、やりすぎているという見解は妥当なのだと思います。

規模を縮小した新しい形のスポーツクラブなら、ニーズがあればできる範囲で生まれてくるでしょう。逆に生まれてこないとしたら、そこまでのニーズはないとか、規模がデカすぎるものを求めてしまっていたということだと思います。

 

私も部活動の社会体育化は主張し続けていますが、そのイメージは部活動規模のものを地域社会で実現するというものではなく、実際のニーズに合わせた新しい形のクラブが持続可能な形で生まれてくるというイメージです。

そのためには、まずは学校から部活動を切り離していく必要があるというのが私の考えです。

この発想の転換が早く広まっていけば良いと思っています。

 

 

「教師=スポーツの指導者」ではない

今日の新聞記事中に気になった文言があります。それは「教員となり、レスリング部の指導者の道をスタートさせた。」という部分です。どんな人生を送るかは人それぞれなので、その方の選択や、高校でスポーツの指導に力を注ぐことを批判するつもりはありません。現状、スポーツの指導をしたいと思ったら中学校高校の教師になるというのは実現しやすい道だというのも理解できます。

ただ、私の考えとしては「新聞記事にこのような書き方をしてほしくはないんだよな。」という思いがあります。

私たち教師は教員免許を持っています。免許があるから教師としてお金をいただきながら働いています。そしてこの免許は教科教育に対する免許であり、スポーツ指導に対する免許ではありません。私であれば小で全教科と中高で理科を教えてもいいという免許を持っています。

教師はあくまで教科の指導者であり、スポーツの指導者ではないのです。だから教師として紹介されるならスポーツを指導している教師としてではなく、教科を指導していること教師として紹介してほしいと思ってます。その道のプロなのですから。

 

教師=部活動によるスポーツ指導者の側面が世間に広まることにはデメリットがあると思ってます。

「部活動の社会体育化が遅れる。」

スポーツや文化的活動は部活動で行うものであり、学校が担うものであるという考えが変わらないと、部活動の社会体育化はなかなか実現しません。

 

「指導者をしたい人が教師を目指す道がメジャーではいけない」

子供達の中には将来スポーツの指導者になりたいと思う子は多いでしょう。しかし現状そうするためにはプロの指導者になるか、地域クラブなどの運営に携わるか、教師として部活動顧問を持つかというのが主な選択になってくると思います。この中で部活動がメジャーすぎてまだまだ地域クラブが一般的でないこともあり、部活動の顧問をするというのは実現しやすい選択肢です。しかし、学校の部活動は少子化や違法レベルの超過勤務が前提となっていることから、先行きが明るくありません。この選択肢がメジャーではいけないと思います。

 

「スポーツ指導をメインで頑張りたくて教師になった人はかなり苦労をする」

スポーツ指導を頑張りたくて教師になる方もいるでしょう。現状その選択肢は実現しやすいものですし、仕方のないことなのかもしれません。人の人生の選択にとやかくいうつもりはありません。やりたい人はルールの中でやれば良いと思います。

ただ、そういう人はそれなりに苦労するはずなので、ある程度覚悟を持ってこの世界に来なければいけないと思います。

 

部活動は教育課程内ではありませんし、その活動時間の多くは教師の勤務時間外に及ぶので、頑張りたいと思えば思うほど、教師の本来の仕事にプラスして自分や家族の時間やお金を削って携わらなければいけなくなります。これはかなり大変です。それを知らずになんとなく実現しやすい道だからとスポーツ指導をすることを目的に教師になる人は、つぶれてしまいます。

 

また、それでもやりたい人がルールの中でやっていただくのまでは止めませんんが、現状これが全教師にほぼ強制で求められてしまっているこの仕組みは問題です。個人が無理することまでは止めませんが、組織として無理のある仕組みは改善する必要があります。そうなってくると、やはり学校の部活動というものの未来は明るくないと思うので、その点でもあまりその目的で教師になるのはお勧めできないと思うのです。

 

 

世間一般には早くこのことが周知されてほしいですし、それでも教師をその目的で目指す方がちゃんと知識を持って覚悟を持って目指せるようになることを願っています。