「ふたりは同時に親になる」
産後ママ向けの整体をされている方に借りた「ふたりは同時に親になる」を読みました。
Amazon.co.jp: ふたりは同時に親になる: 産後の「ずれ」の処方箋 電子書籍: 狩野さやか: Kindleストア
大まかな内容は、「同時に親になるママとパパが一緒に笑顔で子育てをしていく」ために知っておきたい
・産後ママのリアル
・パパの事情
・ふたりで育児を笑顔で進めていくためのマインドセットや協力体制の構築
などが紹介されています。
以下のような人におすすめです。
・これから子育てをする人
・すでに子育てをしていて夫婦での考え方の「ずれ」を感じている人
・子育てに関するイライラや喧嘩が絶えない人
・ふたりで子育てをしていくことに「あきらめママ」「無関係パパ」になっていると感じる人
著者からはしんどい思いをしているママさんがこの本をツールとしてパパと子育てに向き合っていく使い方もおすすめされています。
ママのリアルの場面では一人で家事育児の多くを担うママの悲惨な状況がたくさん出てきます。
パパにとっては耳の痛い部分も多い内容でしょう。
だからこそ「ふたりごと」の子育てのために、最愛の妻のために、背を向けるわけにはいかない学ぶべき内容です。
要約
以下は章ごとに私のメモです。
ざっと内容をつまみ食いしたい方や購入の検討をされる方のお役に立てれば幸いです。
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はじめに
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大きな社会問題よりももっと家庭の中にある小さな個人的な問題に向き合う必要がある。
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パパたちにママの産後のリアルを伝えたい。
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夫婦2人の間の「ずれ」を補正するための材料を提示。
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大きな社会を誰かが変えてくれるのを待っていたら、産後はあっという間に過ぎ、子供大きくなってしまう。夫婦の間の「ずれ」も補正されず取り返しのつかないことになってしまう。自分が今目の前の人のためにできる小さなことから取り組もう。
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- 1章 育児の現場、イメージと違う!
- ママは産前産後で時間の流れが大きく変わる。パパはママほど変わらない。この変化の幅の「ずれ」がママのイライラの原因に。そして何だか2人とも辛そうな状況になる。
- 2章 産後のママのリアル(ここが1つ目の味噌)
- 女性だって否応なく突然に変化がおとずれ、戸惑いながらやっている。女性だから育児に向いていて難なくできるわけではない。男性はそれを逃口上にして甘えてはいけない。
- 180度級の環境変化が一気に余儀なく押し寄せる
- 時間的変化
- 日常生活とはかけ離れた赤ちゃんリズムに延々と、かつ徹底的に向き合わなければならない。
- 授乳、抱っこ、泣き声で強制終了される。あまりにも自由度が低い。
- 好きなことができないどころか日常生活が1つも自分のペースでできない。
- 「自分の時間」で過ごしているパパが羨ましくて許せなくなる。
- パパに求めること。パパはママが「自分の時間」ゼロになっていることを本気で想像し、言動に注意することと、ママの時間確保に本気を出すこと。
- 身体的変化
- 妊娠は「病気じゃないと」言われるが、これがママが「きつい!助けて!」というSOSを出しづらくさせている。
- 妊娠期間は「病気並みの不調が40週」続く。パパのサポートは必須。
- 出産は「大怪我並みのダメージで、産後も回復に半年」かかる。特に床上げまでの3週間は授乳以外はしないくらいがいい。
- 授乳もかなり大変。痛い、乳腺炎、姿勢への悪影響。
- 過酷な睡眠不足はブラック残業よりきつい。終わりもメリハリもないから。
- パパに求めることは。家事。ミルクも使っていれば授乳の交代で睡眠時間確保。荷物持ち。腕力体力。
- 社会的変化
- ママになった途端主人公からサブキャラになってしまう。「〇〇ちゃんのママ」として振る舞うことがほとんど。(やはりママさんたちも名前で呼びたい。)
- ママという基準での新しいカルチャーへの対応も求められる。
- 外出できない、話し相手がいない。
- 突然人生の軌道修正を迫られる。
- 男性に置き換えると「ある日不調で病院に行ったら長期療養が必要と言われ、8ヶ月後の手術まで耐えることを告げられる。そして帰宅すると会社から8ヶ月後から無給の新規業務を委託することを告げられる。」そんな感じ。パートナーのサポートがいらないわけがない。
- 無収入になり収入が減ることで不安が増し、夫に対する立場の低下もストレスになる。
- 育児のスキルにはこれまでの仕事のスキルとは異質なものが求められる。
- パパに求めること。家事育児を軽視しない。ありがとうを伝える。自分も社会的環境を家庭のために変える(できれば育休取得や、そこまでできなくても、少しでも早く帰って家事育児にエネルギーを注ぐなど)。
- 精神的変化
- ママだって突然ママになれてるわけじやない。やるしかない状況に放り込まれてるから不安な中ふんばっているだけ。ここは男性は甘えてはいけない。ともに初心者。
- 命を預かる重さ。
- パパに期待すること。不安の共有。多少仕事の効率を落としてでも。パパが赤ちゃんを引き受けるときは「どうにかするから任せてね」と不安ごと奪い取る。
- 時間的変化
- ライブイベントでストレス点数を測っても女性の妊娠出産に伴う一年間のストレスは相当なもの。
- 仕事のストレスチェックに育児を置き換えても相当ストレスレベルが高く、しかも育児は終わりもなければリフレッシュもしにくいという厄介さがある。
- ハッピーなイメージで包みこまずネガティブな面にもちゃんと向き合う。
- わざわざストレスの掛かる他のライフイベント(転職、転居、車の購入、家の購入など)をぶつけている場合ではない。
- 子どもが生まれるだけでも緊急事態。
- 3章 パパのリアル、パパの事情(パパの事情も紹介されつつもまだまだビンタされるゾーン)
- 時間がない
- 育休を取ってる人が少ないし、期間も短い。育休をイベントととらえるか、協業期間としてとらえるかの心構えで行動が変わる。あまりに短いと家事育児の戦力になれない。
- 夫の仕事時間が全然減ってない。夫が仕事を減らすとか、家のための時間を増やすというマインドが見えない。
- 夫は以前と変わらず常にマックスまで働き続け、育児のスタートに伴う調整弁は妻任せ。両者ともに日々オーバーワークなのに根性だけ対応している。
- 家庭のための時間枠をそもそも必要な時間枠としてカウントしてない?と思えるほど。
- 24時間から生活時間と最低限の娯楽時間を抜いた残りのうち、通勤も含めた仕事時間が長すぎるというのは「ポストイクメン」の本でも出てきた通り。
- 必要ない
- 会社の働かせすぎと、パパ自身の「男の自分がやる必要ないよね」が根強く作用して相乗効果に。
- 育休を取らなかった理由が(忙しくて取れそうにないとか、職場に迷惑をかけるとか、前例がないとか)どれも消極的、あからさまなパタハラのような壁があるわけではない。
- どうすれば育休取得が進むかというアンケートに対して、会社のお膳立てがあれば、とか、ルール化されていれば、というような消極的なアンケートへの答えが多い。
- 妊娠出産が家族にとっての緊急事態であるという意識が少ない。
- 仕事への責任感が強すぎる。
- 根強いやっぱり女性の仕事でしょという固定概念
- ママも「パパの力が必要」と伝え忘れている可能性あり。パパの自覚をうながすというより、厳しい自分の状況を伝えて助けを求める。
- 仕事の手を緩めるという選択肢を二人で見直してみる。
- 仕方ない
- 業界によってはそもそも会社自体が成熟しておらず、「辞めさえしなければ安心」という会社ばかりではない。
- 周囲の視線。まだまだ男性が平日昼間スーパーなんかにいると珍しがられる。子育て支援室行ったりしても。
- 今ならまだ「やっているだけでもプラス評価がついてくる」フェーズ。それに乗っかる。
- ささやかなパタハラ
- 男性同士からの育児や家事に時間を使うだけで「仕事ができない男」と判定するようなムード
- 「仕事だから仕方ない」は家事に対する侮辱。軽んじている。
- 家庭で「戦力」になるために
- ママは弱った同僚だと思って対応
- 傾聴と過重労働の緩和
- 組織として家庭の育児環境の改善に積極的に取り組む
- 時間がない
- 4章 ふたりは同時に親になる① 育児初年度の「傾向と対策」(解決へ向けたやるべきこと。男性はここからの内容は得意そう。この先を読まねばビンタを食らっただけの瀕死状態で終わってしまう。)
- 傾向
- 環境変化の分量差が溝を生む(ママは激変に否応なく放り込まれる。パパの変化はさほど。)
- ママからの婉曲した警報を受け取れないとヤバい。孤独感→不信感→嫌悪感ヘと変化。
- 自分のペースで物事を進められるパパが特権階級に見える。
- 産前と同じように「普通に生活」しててはダメ。
- ママだけのことならまだしも子育ては「ふたりのこと」だから余計に無関心さに腹が立つ。当事者でしょ!?と。
- 夫婦の衝突にエネルギーを使っている場合ではない。いま全力でしなければならないのは、ままがシンプルに助けを求め、パパがその手をガッチリとつかんで引き上げること。
- 環境変化の分量差が溝を生む(ママは激変に否応なく放り込まれる。パパの変化はさほど。)
- 対策
- 初心者同士仲間になる。応援するのではない。2人共初心者のうちにどんどん飛び込み当事者になる。
- 業務量の適正な見積もり。ひとりじゃ無理だと認める。
- 心はアウトソーシングしない。ママが頼りたいのはパパ。
- 関係ないからの脱却。時間も大事だがたとえ向けられる時間が少なくても関心を向けること。
- 手伝おうか?はNG。「本来自分の仕事ではないけれど」というニュアンスが含まれる。当事者らしい言い方が良い。「洗い物はやるよ。」当事者としてのソリューションの提案。
- 今の自分よりも少しだけ本気で歩み寄った身の丈にあった行動で良い。「痛み分け」という考え方。自分も変化を受け入れ家事育児に積極的に巻き込まれる。現状から少しの一歩を踏み出すための不断の問いかけを自分にし続ける。
- 育休を取れるに越したことはないが、育休を取っただけで責任を果たしたようになってしまうのはよくない。
- 駄目なパターン①戦力外休暇
- 駄目なパターン②育休燃え尽き型
- 派手さにとらわれず継続的なサポート体制を敷く。
- 男性の育休で重要なのは「しんどさの共有」。まさに私もこれがよかったと実感!育児の辛さが「ラクに通じる感じ」がママにとっては重要。
- 育休パパ育休後の持続可能な協力体制を作るための大切なベースの期間。育休をとって終わりではなく、育休から育児は始まり、続いていく。
- 赤ちゃん「を」パパ「に」慣らして「ママじゃなきゃダメ」という状態を崩さなければいけない。寝かしつけができたりママに1時間自由時間をつくれることは大きな価値。
- チームの共感力アップのために。時間がないパパにもおすすめの方法。
- 1日ワンオペ育児・家事体験
- 家事担当のスポット方からプロジェクト型(家事の1つを全権委任)への移行。家事の中にパパの「管理テリトリー」をはっきり作れ、家庭内の業務への責任感を持てる。自分なりのスタイルを作り、自分のペースで進めることもできる。
- 傾向
- 5章 ふたりは同時に親になる② 自分たちのスタイル構築
- ママの環境変化の対策
- つらさポイントを見つける(時間、身体、社会、精神のどこに辛さを感じているのか。努力の方向を見誤らないために。家事育児への関わりが強いパパにも有効。)
- パパがやるとママに怒られるの謎
- パパの技術が低すぎるパターン。→得意そうなことからスキルアップを図る。
- 「パパのやり方を許容できない」というママ側の問題。→協業にするんだから相手のやり方も認める。
- 緊急事態下においてはママのクオリティが保たれることよりも2つの手があることの方が重要。協業が当たり前の時代では家の中に家事の流儀が2つありクオリティもデコボコなのが新しいスタンダード。
- ママも本気で手放す、任せる
- ママが手を抜いても楽にならない怪
- アウトソーシングの前に家事のダウングレード。家事か地獄かの内容と同じ。
- 目標ラインを下げる
- お金も時間も育児のためにこれまでより引き算するのは避けられない。働き方も育児も従来の理想を目指すのではなくフレキシブルに変化させていく。
- 2人の親イメージをチェックし、互いの持っているイメージを知り、ずれを知り、互いの痛みを知ることが大事。それができればその後の協力体制が作りやすくなっていく。
- 自分たちらしいスタイルを作るために
- 心の並走感が大事。家事育児にかけた時間や分量だけでなく、2人が親になったことで生じる変化をどれだけ共有しているか。
- 自分の役割と相手の役割への納得感
- 変化を受け入れ、乗りこなす「柔軟性」。これは強制的に受けいらさせられる女性も大変だが、自らの意思と判断で発揮しなければならない男性も大変。
- 最初は2人とも育児の素人。2人とも何もわからず不安でいい。一緒にスタートして一緒に困って2人とも寝不足になって2人で肩こりに悩まされてヘトヘトになってお金のことを心配して。「これすごいきついね」と一緒に言えることが大事。いつか「あの時大変だったね」と笑いながら振り返れる。
- ママの環境変化の対策
- おわりに
- ママへ。どんなな正しい主張も相手の行動につながらなければ意味がない。言いづらいことは本を活用して伝えてくれたらいい。必要なのは、抱え込む根性ではなく、手放す勇気。我慢するのではなくつぶれる前に助けて、1人では無理!と伝えること。
- パパへ。今の日本で仕事も育児もやろうとすると壁だらけ。男性だって産後うつになる。しかし、状況が厳しいからと思考停止になるのではなく、今よりもほんのちょっとだけ変わるために本気を出す。育休も取らせてもらうのを待つなんて情けないのはやめてほしい。ママを見て本気で必要かどうか自分で判断する。家の中で、産後の大激変をママが1人で背負い、後は社会環境のせいにするというのはもうやめる。ママは自信を持って白旗をあげ、パパは本気で危機感を持つ。
- どちらか一方ではなく、両方が変わる必要がある。
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