父親3.0とは
本書では父親3.0という育児をする男性の新しい父親像を提案しています。
ちなみに父親像は以下の3つに整理しています。
・父親1.0はいわゆる昭和型企業戦士(男は仕事、女は家事育児の分業が一般的で育児に関わった経験が少ない)
・父親2.0はいわゆるイクメン(女性のワンオペ育児の社会問題化により男性が育児に参加するようになるも、過度に母親化することを求められたり、推進ばかりで支援が少なく「イクメン嫌い」も生むことに。どこか育児をする男性に特別感がある。)
・父親3.0は誰もが(父親も母親も)社会的支援を受けながら育児と仕事を両立するスタイル。
父親3.0の特徴として
・夫婦や両親、外部の支援を利用した分散型育児
・担当割合のフレキシブルさ
が挙げられています。
読みながら嬉しくなっていたのですが、まさに我が家は割とそれを意識してきましたし、それが可能な状況になっています。
嫁様、両親、外部の支援(保育園や子育て支援室)を利用してそれなりに分散型育児ができています。
夫婦のどちらも育児も家事も仕事も一通りできるし、その担当割合もフレキシブルです。
夫婦の状況によって外部に任せるとき(保育園の利用)と育児に集中するとき(育休)があるのも全くそのとおりです。
父親3.0は「特別ではなく当たり前に育児をする父親世代」という意味と、「分散型育児(共同体育児を社会で担う)」という意味を含んでいます。
私もこれからの社会ではこういう父親像が広まっていくといいと思います。まずは自分が実践してこうして発信することが大事ですし、特に今はそのフェーズです。
父親3.0の実現に必要なのが教育・経験・支援なのですが、経験は少子化・核家族化の中充実させるのは難しいので、特に教育と支援が大事であるということでした。
父親3.0に3ステップ
父親3.0の状態に男性が近づいていくためのステップとして3段階紹介されていました。
①知識があると「対処」ができて「危なくない父親」になれる
②目線が合うと「共有」ができて「頼れる父親」になれる
③考え方が共有できると「共感」もできて、「(ともに育児をする)パートナー」になれる
まず①がくるのは、以下2つの理由からです。
・育児に完璧なんてものがないのだから、まずは「危なくない父親」になり、夫婦で「危なくない育児」ができればいい。
・完璧にこだわるのは自分の精神衛生上も、虐待への繋がりやすさなど考えても危険。
②の目線の共有とは「子ども中心の考え方」になることです。
男性は妊娠期間の体の変化がないのでこれが女性より苦手です。
目線合わせに重要な時期は「妊娠中」と「最初の育休」になります。
妊娠中も、体の変化はないですが、目の前の妻が変化していくことに気遣うことはできるし、妻と変化や不安を共有することで「子ども中心の考え方」へ変わっていきやすくなります。
妊娠中、妻の支援者となるためにできることは、まずは話を聞くこと。
妻の妊婦としての心身の変化に寄り添うことが大事です。
ここで大事なのは、男性がやりがちな「解決する会議」ではなく、「とにかく聞いて共感」すること。これは私も大の苦手ですが、重要性は理解しているつもりです。
③のパートナーになるためには、これから起きる様々なイベントを共有し、主体性を持つことが大事なようです。
入院バッグを一緒に準備するなど、具体的な案も提案されていました。
育休はゴールではなくスタート
著者は、男性も社会も「育休を取ること」ばかりに目がいって、「その前後をどうするか」について目が向いていないことを問題視していました。
「育休で最も大事なのは育休を取ること自体ではなく、育休後の人生設計。」
この考え方にすごく今は納得しています。
育児は10年以上続くものです。当たり前ですが働きながら育児する期間のほうが圧倒的に長い。
すると、育休は育児の準備期間と捉えるのがいいそう。
育休の目標は育児と仕事の両立に向けて準備すること。
育休の取り方や期間中のアドバイスとして2つありました。
①育児を妻だけのテリトリーにしないために、出産直後に育休をとる。祖父母の力を借りるなら来てもらうか、父も育休を取って一緒に里帰りする。
②出産直後の育休のどこかで父親がワンオペ育児をする日や時間を作る。
これらを実現するためには、育休の取得期間としては
「産後、母の退院後すぐに2週間以上の育休」がおすすめされています。
男性も育児を一人で対応でき、必要に応じて夫婦で協力できる状態を育休期間で作り上げることが望ましいです。
育児をする父親が潰れないために気をつけること
両立において自分が潰れないためにも、「負荷の総量は全体で考える」ことが重要です。
仕事と育児の負担は別ではなく、全て自分自身が引き受けるものなので、育児の負担が増える時期は仕事の負担は減らすことを考えねばなりません。
最も大事なのは自分の健康です。
そのためにも、「どちらも完璧にこなさなくては」といった「有害な男らしさ」を捨てる必要があります。
もし不調を感じたら、誰かに相談し、可能な限り負荷を減らすことも必要です。
私も、「まさか自分がそんな状況にはならないだろう」と過信することなく、「負荷の総量は全体で考える」ことをちゃんとしていこうと思っています。最近ちょっとこれについては上手くなってきている感覚があります。
おわりに
毎日ちょこちょことしか読めないので時間がかかりましたが、今の自分の状況にどんぴしゃで、非常に学びの本でした。
もちろん、これから育児をする世代や、今後育児をする世代と働いたり支えたりする人たちにもおすすめなので、たくさんの人におすすめできる1冊です。