丹後先生の生き様公開と仲間づくりのためのブログ

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教育関係者・保護者向け9:「良い子だね」と「ありがとう」

今日は育児、教育ネタです。教育関係者や保護者の方向けかと思います。

 

今日、妹と嫁様と私との会話の中で、

妹はよく子ども(1歳)に「ありがとう」と口癖のように言っているのですが、

私の母から、やって当たり前のようにも思えることも含め何でもかんでも「ありがとう」をいうのは良くないんじゃないかと言われた、

という内容のものがありました。

母はそういう時によく「良い子だね」と言って褒めるそうです。

 

さて、皆さんは例えば1歳くらいの子どもがイスに座ってご飯を食べてくれた時に「ありがとう」と言いますか?「良い子だね」と言いますか?

難しいところだと思うし、人によって教育方針は違うと思うのですが、私はこれに関しては「ありがとう」と言いますし、「良い子だね」というのはあまり良くないんじゃないかなと思っている人です。

 

何故かを書きます。

参考にしている考え方は、「嫌われる勇気」という本のアドラー心理学の中で「縦の関係」「横の関係」と呼ばれている考え方です。

 

詳しくはぜひ一度読んでみて欲しいのですが、

「縦の関係」は相手と上下関係があるという意識が根底にあります。「横の関係」は上下関係ではなく、「異なるけど対等」という意識が根底にあります。

 

そして「縦の関係」の意識で接しようとする時、人は相手に対して褒めたり叱ったりして自分の思い通り、期待通りに動かそうとしてしまいます。今の例であれば、「子どもに座ってご飯を食べて欲しい、その行動を今後も続けて欲しい。だからその行動を褒めて強化している。」ということです。してほしくない行動を叱ることも、根底にあるのは自分より下の立場の人に対して相手の行動をコントロールしようという意識です。この上下の意識や相手をコントロールしようという意識が良い人間関係を築く上でも、教育する上でも良くないそうです。

縦の関係では「良い子だね」「偉いね」というような褒める言葉が出てきます。だからアドラー心理学では叱ることも褒めることも否定しています。

 

一方で、「横の関係」の意識で接しようとする時、相手との上下関係はありません。異なるけど対等です。だから相手の行動をコントロールしようとしません。もちろんこうなって欲しいという願いはあるし、それを伝えはしますが、そのように変化してくれるかどうかは相手に委ねます。自分がコントロールできるものではないですし、そうしようとしません。本書では「馬を水辺に連れてくることはできるが、水を飲ませることはできない。」という言葉で例えられています。横の関係では褒めたり叱ったりするのではなく、相手に自分の感動を伝えたり、感謝を伝えたりします。だから「すごいね」「嬉しいよ」「ありがとう」などの言葉が出てきます。

今の例であれば、一見やって当たり前の行動に見えますし、親としてその行動を続けて欲しいという願いはあります。ただ、やってくれて当たり前のことなんてないですし、親が願うことと、子どもがどのように変化するかは別の話です。だから相手の行動を変えようとするのではなく、ただ嬉しい気持ちや感動や感謝を伝えます。

 

 

いかがでしょうか?

親として子どもをちゃんとした大人に育てる責任があるから、ある程度コントロールするべきだし、褒めることも叱ることも必要だという考えももちろんあるでしょう。それは否定されるべきことではありません。人それぞれの教育観によります。

 

ただ、アドラー心理学の「横の関係」の考え方を持っている人、知っている人は多くないんじゃないかと思ったので、こういう考え方もあるという選択肢の一つとしてご紹介しました。

 

私は普段から嫁様とも親とも、同僚とも生徒とも「横の関係」を築きたいと思って意識しています。それでも、状況によって言葉選びを迷うことはありますし、今ので良かったのかと反省することもよくあります。それでも意識し続けているおかげで精度は上がってきている実感もあります。

もし、「横の関係」を築きたいと思う人に、どんな言葉を選ぶのが良いかの判断基準も紹介しておきます。それは「その言葉が上司や配偶者に言ったとしても違和感がないか?」です。

先の例で言えば上司や配偶者に対して「良い人ですね」「偉いですね」とはあまり言わないと思います。「すごいですね(すごいね)」「嬉しいです(嬉しいよ)」「ありがとうございます(ありがとう)」なら上司や配偶者に言っても違和感がないと思います。

 

 

どちらの関係を相手と築くか、どういう教育観で相手と接するか、これは先ほども述べた通り人それぞれだと思います。ただ、生徒や我が子と接する時に「縦の関係」「横の関係」のような考え方があることを知っておいて意識しながら言動を選べるようになると、相手と良い関係が築け、良い教育もできると思います。

ぜひ、おすすめします。

 

https://www.amazon.co.jp/嫌われる勇気-岸見-一郎-ebook/dp/B00H7RACY8/ref=mp_s_a_1_1?dchild=1&keywords=嫌われる勇気&qid=1628597414&sr=8-1