今日は2章について紹介します。
1章の結論
1章では、「安定した収入を得られる職につける大学に進学」するか、「そうでない大学に借金してまで入学しない」という選択肢が提示されました。では一体どこが「安定した収入を得られる職につける大学」に該当するのでしょう
か。
「就職率ほぼ100%」の本当
大学の就職内定率は80.4%、上位校に絞ればほぼ100%と発表されています。しかしここには数字の見せ方の罠があります。嘘を言っているわけではないのですが、上記の「ほぼ100%」と、私たちの思う「ほぼ100%」はだいぶ違っているようです。私たちは卒業生全員の中で就職した人の割合だと思ってしまいますが、実際は「就職を希望した学生」の中で就職した学生の割合なのです。
例えば、就職を希望したが失敗して大学院に進学した人や、進路希望が無回答の人、公務員試験を受けて落ちた人は来年度も試験を受ける予定なので今年度は就職を希望していないとして分母からのぞかれるそうです。このような「ウソではないウソ」によって数字を操作しているため「ほぼ100%」が成り立っていますが、就職率9割以上を誇っている大学も6割程度というのが実態のようです。しかも1章で紹介したように、そのうちの約4割は非正規雇用となるのです。
就職できなかった高校生は大学進学を勧められるが…
高校の就職内定率も数字の操作が行われているので同じような現象が起こっています。今、高卒の就職先は大卒に食われてきています。しかし、生徒を無職として放っておくわけにもいかないので、就活に失敗した生徒には進学を勧めます。ただ、ここで保護者も教師も抜け落ちている視点は、高校時点で就職できなかった子が、大学に行ったからと行って就職できるかは分からないということです。お金と時間をかけ、借金を負ってまで、非正規雇用になったり、就職できなかったりというケースも十分に考えられます。高校の教師は生徒のその先の人生まで責任を持ってくれません。だから本人と保護者がちゃんと調べ、学び、考える必要があります。
学歴信仰が崩れた今の進路選択
では、単純な学歴モデルが崩れた今、どのように進路を選択していけばいいのでしょうか。
まず、トップ大学への進学を希望して、合格する可能性が高いのならその方向でGOです。
しかし、偏差値60以下の大学の場合はジョブ型学部(教育内容と目指す仕事が対応している学部)へ進学することを勧めます。非ジョブ型学部に進むくらいなら、就職を希望する業種で役立つ能力を学べる専門学校への入学の方が勧められます。
そして、偏差値50程度の非ジョブ型大学には進学しないことを勧めます。投資に見合わないからです。
したがって、高校進学の場合は、
トップ大学に進学できるであろう学校(地方において1~2番手の高校)への進学を希望し、可能性があるお子さんならその方向でGOです。
しかし、地方で2~3番手以降の普通科高校に進学することは要再検討だと思われます。その高校では就職は厳しいですし、就職が出来なければ投資に見合わない大学への進学を勧められることになります。
それよりも、偏差値は上記の高校よりも低くても、ジョブ型高校に入学し、「指定校求人」で正規雇用される方が安定した職につける可能性が高いです。
生涯賃金に関して
高卒で大きな企業に就職した人>大卒で小さな企業に就職した人
となります。
そして、投資に見合わない大学進学を避ければ、時間もお金も浪費しておらず、奨学金という借金を抱えることもありません。
いかがだったでしょうか?
昨日に続いて「学歴の経済学」に書かれている進路の話を紹介してきました。
1章では学歴信仰が崩れていること
2章ではその中での進路選択
が書かれていました。
それ以降の章の内容は以下のような感じです。
3章はトップ大学の入試がどう変わっているかという話
4章は多くの普通の人に関わる、就職、転職、結婚などのもう少しスパン長いライフスタイルの話
5章は人口減少により衰退していく日本で幸せに生きてく考え方、さらに長いスパンの話
が書かれています。今回は、生徒や保護者にとって近々の話になる大学や高校の進学について書かれた1、2章を重点的に紹介しました。詳しい統計データの出典など載っているので、ぜひ本書をとって自分の進路選択について学んでほしいです。
そしてできれば教育関係の方や保護者の方や生徒の皆さんと、社会の変化やその中での進路選択についてたくさん話せたらと思っています。
今回は以上です。
読書数6生徒向け発信6として記録しておきます。
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